Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
八五郎はすっかり面食らっておりますが、平次はそんなことに関わらず出かける用意をしております。
「頼もう、お頼み申す、――まだ陽は高いぜ。今から表をしめて、何をしているんだ、――御上使のお入り――と来たぜ、おい」
ガラッ八の八五郎は、御台所町のお楽の家の前へ来ると、平次を待たせて置いて、精いっぱい張り上げるのです。
西にまわった真夏の陽を受けて、表戸を堅く閉ざしたのは、この辺の町家には類のないことですが、八五郎はもとよりそんなことを気にする柄でもありません。
「どなた? ご用なら夜分にして下さいな。今が丁度寝入りばなよ、冗談じゃない」
中から答えたのは女主人のお楽の声でした。
「何をいやがる、まだ陽が高けえやな。おいらん衆だって今頃はお目ざめで、お化粧を始める時刻だぜ」
「まア、八五郎親分ね。まだ呑み足りなかったの」
表戸が二、三寸開いて、お楽の浅黒い――が抜け目のない顔がのぞきます。
「何をいやがる、そんなに呑みたきゃ、真っ直ぐにお屋敷へ帰るぜ。大玄関には薦被りがドカリとすえてあるんだ」
「何んの薦被り?」
「畜生ッ、薦被りは灘の生一本と極ってらア――ところで、おれの後ろにいる人の顔が見えねえのか。