Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

お栄は突き詰めた情熱から解放されて、漸く女賊の自尊心をとりもどした様子です。

「その賽の目の入墨を見せた上は、どうなるか、お前はわかっているだろうな」

「それはもう、逃げも隠れもすることじゃありません。さア、存分にして下さい。でも、銭形の親分はまさか、裸のままの女を縛るつもりはないでしょうねえ」

「肌を入れるが宜い」

平次の言葉は冷たくて職業的にさえ響きました。

「私は負けました――もう未練も何んにもいやしません。せめて世間様へは、斑組の首領――大橋伝中の娘のお栄が、大暴れに暴れた末縛られたとでもいって下さい」

お栄は紫陽花色の単衣に肌を入れながら、フト聴き耳を立てました。

「おや? あれは?」

炎の中に

それは物の爆ぜる音でした。いや、物の焼けるすさまじい音といった方がよいかも知れません。それに絡んで、犬のほえるのが、次第次第に高くなって行くのです。

不意に、穴倉の蓋が開いて、梯子の上の方から焦臭い風がどっと吹きおろして来ました。

「火事だッ、早く」

平次はためらうお栄の手を引寄せると、それを横抱きに、梯子へ手を掛けようとしましたが、一瞬の違いで、梯子は上からサッと引き上げられてしまったのです。