Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

「待て待て」

飛びついたが、これは及びませんでした。曲者は恐ろしく心得た奴で、ごみばこを蹴返して路を塞ぐと、くも手の路地のやみを縫って、素早い昆蟲のように姿を隠してしまったのです。

平次は執拗にそれを追ってみましたが、フト、近江屋の家の中に若くて綺麗なお栄がたった一人いることを思い出して、宜い加減にして諦めて曲者の飛び出した裏口から入って見ました。

お勝手の次の六畳、平常居間にも寝間にも使われる薄暗い部屋に、行燈の燈心を掻き立てたのを前に、お栄は滅茶滅茶に縛られた上、猿轡まで噛まされて、眼に沁みるような緋縮緬の長襦袢を踏みしだいた儘、畳の上に転がされているではありませんか。

「――」

平次はハッと立ち縮みました。見るべからざるものを見たような、恐ろしい冒涜感に襲われて、思わず顔を反けたのです。

が、次の瞬間、思い返して近づくと、お栄の柔かい体を抱き起して、まず猿轡を取ってやりました。

「どうした、お栄さん。気を確かに持つんだ」

お栄は半ば気を失っておりましたが、縛った細紐を解いて、前褄を直してやって、静かに背など撫でてやると、

「あ、あ痛い、痛い」

わずかに眼を見開いて、夢心地に四方を見まわすのです。