Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 157.440 caratteri · 313 schermate
家の中の灯りもここまで射さず、鉢合せをしてもわからないほどの闇ですが、神経の鋭くなっている定吉には、平次の来るのが待ち遠だったでしょう。
「定吉か、気の毒だったな」
「――」
定吉はやみの中に顔を反けました。ひどく泣いている様子です。
平次はその泣声を痛々しく聴いて、家の中に入ると、中は思いのほか小綺麗で、土地の御用聞や近所の衆が四、五人、お里を交えてただウロウロしている有様でした。
死骸は床柱からおろして、ざっと拭き清めた六畳に寝かしてあります。唐紙に飛沫いた血が斑々として、その無気味さというものはありません。
「八、床柱から取り下ろしたのはお前か」
平次は後ろから首を伸ばしている八五郎を顧みました。
「ヘエ、あっしも手伝いましたよ」
「お前たちが駆けつけた時は、家の中にはだれとだれがいたんだ」
「仏様だけですよ――騒ぎを聴いて、近所の衆が駆けつけてくれたんで」
「すると、戸は閉っていなかったのか」
「入口の格子には締りはありませんでした。もっとも掛金があったひにゃ、仏様が戸締りをしたことになるが――」
八五郎は無駄をいっております。もっとも家の中はたいして取乱した様子もなく、死骸の怪奇な様子や、凄ましい血飛沫を除いては、物のありかにも、道具の落着き場所にも、たいした変りはない様子です。