Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

持仏の間の中では相変らず鐘の声と経の声がきこえる。

「誰だいあすこに入って居るのは?」

「紅でございましょう、昨夜は夜中入って居ったのでございます」

と云ったので戸を細目にあけて中に入ると香の香りのもやの様にただよう中に水晶の珠数をつまぐりキチンと坐って経をあげて居る横がおは紅にちがいない、貴いほど、気味のわるいほどひきしまった、すごい美くしい様子で有った。足音はしずかに衣ずれは立てわきに坐ると、殿はおどろいたように「オヤ」と云った。

無理ではない今まで丈にあまって居たかみは思いきりよく根元からきられてそのしとやかななで肩の上に、ぞっくりそろった末をゆるがして居る、そのつや、その香りはもと通り紫とかがやき紫の香りを立てて居るのがしおらしかった。

経は紅の口からまだほとばしって出る、まるでわきに人の居ないように……殿はその姿を絵像を見るような人間ばなれをした気持で見て居た。経の切れ目になった時、紅はつと坐を下って手を支えた。

「昨日はまことに……妙なものを御目にかけまして相すみませんでした、どうぞ御ゆるし下さいまして。御覧の通りになりますのに人にかくした、ことに殿様のようにいろいろ御恩になって居ります御方にかくした事が有ってはと存じましたので……」