Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
ジーッと海を見つめて居ると目にうつる万のものがくもって来た、冷たいものが頬を流れた。女君はたえられない様にうつぷせになってしまわれた。傍の木かげで男君が見て居様などとは夢にも思わなかった姫ははばかる人もなく心のままに悲しむことの出来るのを悲しい中にもよろこんで居られた。まだ木の香の新らしい縁に柳の五重を着て長い美くしい髪をふるわせながら橘の香の中につかって居らっしゃる女君の姿は絵よりも尚多いものであった。始はつつましく声を立てなかった紫の君も心の中にあまる悲しみは口の外に細い細いすすりなきの声となってもれた。わきに見て居る男君はたえられなくなってかくれて居るのも忘れて、
「オオ美くしい、まるで絵の様な、私はその涙を私のためにそそいで下さる様にとどれだけねがって居るかは貴女も知って居らっしゃるだろうに」
とうらめしい様に云いながらそのそばによると、思いがけなく声をかけられしかもそれが光君だと云うことを知った女君はにげるにも逃げられず声を立てるにもたてられず前より以上に深くつっぷしてしまわれる美くしさはなおます許りで夕暮のさびた色の中に五色の光を放つかの様に見えた。