Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate

Aozora Bunko

怒りながらこんなことを云い合って居た。

どことなくしずんだことさら秋の悲しさの身にしみるような日の夕方、九月はもう二十日になって居た時の夕、紅は乳母にかわってもらって昨夜のてつ夜に疲れた体を几帳のかげにそのまま横えてねるともなし、おきるともなしにかおにかんばしいかおりの額髪をかぶせたまんま居ると、そろっと足音をたてて近よった人はその額がみをよけて横になって居る体を子供をするようにだきおこした。夢と現のさかえに居た人はびっくりして目をあけると、美くしいかおにほのかな紅を染めて自分の体をしっかりかかえて居る。身をひいてどけようとしたけれども、その手をゆるめないでしっかりかかえたまんまで、

「御免、ほんとうに長い間いろいろ世話をやかせて」

声ははっきりとして目はおだやかになって居る。

紅はハッとした。「若しか若しか、今まで変で有ったのは、わざとして居たのではあるまいか」おどろきとよろこびにふるえながら、

「若様、御わかりあそばしますか、御気はたしかでございますか」

「わかりますかって? わかってるとも、美くしくてつれなくて――私は気がたしかときくの? たしかともたしかとも只私はかなしさに、なさけなさに……きれいなところは有るものをネエ」