Classici giapponesi con furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Leggi 錦木 (にしきぎ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.481 caratteri · 103 schermate
その日の晩、東の対の光君の御部屋からと云って童が一つしっかりと封じた文をもって来た。何かといぶかりながら上包をとると、
「私からうちつけに文などをさしあげましてまことに恐入りますが、私の心に同情下さいますなら御開き下さいませ、もしそうでございませんならこのまま御すて下さいませ」
と紅の手でこまかくうす墨でかいてあった。殿は好奇心にかられて中を開いた。細かく長く書いて有る、はじから順々によんで行くとこんなことが書いてあった。
「どうぞ御ゆるし下さいませこんな失礼をいたします事を。私は今までどう云う心持で暮して居ったかと申す事を御はなしいたそうと思いたちましたので……何故と云うわけは御きき下さいませんように。私はどんな身分で今までどんなかなしい事に出合ったかと申すことも御存じでいらっしゃいます。私は……まことに何な事でございますが、光君様を御したい申して居りました。けれ共、私は、その事を表にあらわしてよい事かわるい事かと申すことは、幸父からうけついだ理性ではんだんする事が出来ましてす。それで私達は今まで一寸でもそんな事を気をつけられる事もございませんでしたし又気取られるような事もいたしませんでした。