Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Leggi 鎧櫃の血 (うし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.702 caratteri · 99 schermate

Aozora Bunko

わたくしは鼠を使うのでございました。芝居でする金閣寺の雪姫、あの芝居の真似事をいたしまして、わたくしがお姫様の姿で桜の木にくくり付けられて、足の爪先で鼠をかきますと、たくさんの鼠がぞろぞろと出て来て、わたくしの縄を食い切るのでございます。芝居ならばそれだけですが、鼠を使うのが見世物の山ですから、その鼠がわたくしの頭へのぼったり、襟首へはいったり、ふところへ飛び込んだりして、見物にはらはらさせるのを芸当としていたのでございます。」

お元と鼠との因縁はまずこれで説明された。かれはさらに語りつづけた。

「そうしておりますうちに、江戸ばかりでも面白くないというので、両親はわたくし共を連れて旅かせぎに出ました。まず振出しに八王子から甲府へ出まして、諏訪から松本、善光寺、上田などを打って廻り、それから北国へはいって、越後路から金沢、富山などを廻って岐阜へまいりました。ひと口に申せばそうですが、そのあいだに、足掛け三年の月日が経ちまして、旅先ではいろいろの苦労をいたしました。そうして、去年の秋の初めに岐阜まで参りますと、そこには悪い疫病が流行っていまして、一座のうちで半分ほどばたばたと死んでしまいました。