Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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に、さんば――じゅうに、さんば

鏡花短篇集

泉 鏡花

Leggi 鏡花短篇集 (に、さんば――じゅうに、さんば) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.305 caratteri · 66 schermate

Aozora Bunko

「それからその人の部屋とも思われる、綺麗な小座敷へ寝かされて、目の覚める時、物の欲しい時、咽の乾く時、涙の出る時、何時もその娘が顔を見せない事はなかったです。

自分でも、もう、病気が復ったと思った晩、手を曳いて、てらてら光る長い廊下を、湯殿へ連れて行って、一所に透通るような温泉を浴びて、岩を平にした湯槽の傍で、すっかり体を流してから、櫛を抜いて、私の髪を柔く梳いてくれる二櫛三櫛、やがてその櫛を湯殿の岩の上から、廊下の灯に透して、気高い横顔で、熟と見て、ああ好い事、美しい髪も抜けず、汚い虫も付かなかったと言いました。私も気がさして一所に櫛を瞶めたが、自分の膚も、人の体も、その時くらい清く、白く美しいのは見た事がない。

私は新しい着物を着せられ、娘は桃色の扱帯のまま、また手を曳いて、今度は裏梯子から二階へ上った。その段を昇り切ると、取着に一室、新しく建増したと見えて、襖がない、白い床へ、月影が溌と射した。両側の部屋は皆陰々と灯を置いて、鎮り返った夜半の事です。

好い月だこと、まあ、とそのまま手を取って床板を蹈んで出ると、小窓が一つ。それにも障子がないので、二人で覗くと、前の甍は露が流れて、銀が溶けて走るよう。