Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もん

門

夏目 漱石

Leggi 門 (もん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.830 caratteri · 278 schermate

Aozora Bunko

そうして時によると、自分がもし順当に発展して来たら、こんな人物になりはしなかったろうかと考えた。

そこへ下女が三尺の狭い入口を開けて這入って来たが、改ためて宗助に鄭重な御辞儀をした上、木皿のような菓子皿のようなものを、一つ前に置いた。それから同じ物をもう一つ主人の前に置いて、一口もものを云わずに退がった。木皿の上には護謨毬ほどな大きな田舎饅頭が一つ載せてあった。それに普通の倍以上もあろうと思われる楊枝が添えてあった。

「どうです暖かい内に」と主人が云ったので、宗助は始めてこの饅頭の蒸して間もない新らしさに気がついた。珍らしそうに黄色い皮を眺めた。

「いやできたてじゃありません」と主人がまた云った。「実は昨夜ある所へ行って、冗談半分に賞めたら、御土産に持っていらっしゃいと云うから貰って来たんです。その時は全く暖たかだったんですがね。これは今上げようと思って蒸し返さしたのです」

主人は箸とも楊枝とも片のつかないもので、無雑作に饅頭を割って、むしゃむしゃ食い始めた。宗助も顰に傚った。

その間に主人は昨夕行った料理屋で逢ったとか云って妙な芸者の話をした。この芸者はポッケット論語が好きで、汽車へ乗ったり遊びに行ったりするときは、いつでもそれを懐にして出るそうであった。