Classici giapponesi con furigana
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もん
門
Leggi 門 (もん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.830 caratteri · 278 schermate
「こうなると少し遣場に困るのね」と訴えるように宗助に告げた。実際ここを取り上げられては、御米の御化粧をする場所が無くなってしまうのである。宗助は何の工夫もつかずに、立ちながら、向うの窓側に据えてある鏡の裏を斜に眺めた。すると角度の具合で、そこに御米の襟元から片頬が映っていた。それがいかにも血色のわるい横顔なのに驚ろかされて、
「御前、どうかしたのかい。大変色が悪いよ」と云いながら、鏡から眼を放して、実際の御米の姿を見た。鬢が乱れて、襟の後の辺が垢で少し汚れていた。御米はただ、
「寒いせいなんでしょう」と答えて、すぐ西側に付いている。一間の戸棚を明けた。下には古い創だらけの箪笥があって、上には支那鞄と柳行李が二つ三つ載っていた。
「こんなもの、どうしたって片づけようがないわね」
「だからそのままにしておくさ」
小六のここへ引移って来るのは、こう云う点から見て、夫婦のいずれにも、多少迷惑であった。だから来ると云って約束しておきながら、今だに来ない小六に対しては、別段の催促もしなかった。一日延びれば延びただけ窮屈が逃げたような気がどこかでした。小六にもちょうどそれと同じ憚があったので、いられる限は下宿にいる方が便利だと胸をきめたものか、つい一日一日と引越を前へ送っていた。