Classici giapponesi con furigana
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いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Leggi 陰獣 (いんじゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.968 caratteri · 131 schermate
と怨じてあった。
私はこの手紙を受取っても、妙に気が進まなんだ。彼女の顔を見るのがいやで仕様がなかった。だが、それにも拘らず、私は彼女の指定して来た時間に、御行の松の下の、あの化物屋敷へ出向いて行った。
それはもう六月に入っていたが、梅雨の前のそこひの様に憂欝な空が、押しつける様に頭の上に垂れ下って、気違いみたいにむしむしと暑い日だった。電車をおりて、三四丁歩く間に、脇の下や背筋などが、ジクジクと汗ばんで、触って見ると富士絹のワイシャツが、ネットリと湿っていた。
静子は、私よりも一足先に来て、涼しい土蔵の中のベッドに腰かけて待っていた。土蔵の二階には絨氈を敷きつめ、ベッドや長椅子を置き、幾つも大型の鏡を並べなどして、私達は遊戯の舞台を出来る丈け効果的に飾り立てたのだが、静子は私が止めるのも聞かず、絨氈にしろ、ベッドにしろ、出来合ではあったけれど、馬鹿馬鹿しく高価な品を、惜し気もなく買入れた。
静子は、派手な結城紬の一重物に、桐の落葉の刺繍を置いた黒繻子の帯をしめて、例によって艶々とした丸髷のつむりをふせ、ベッドの純白のシーツの上に、フーワリと腰をおろしていたが、洋風の調度と、江戸好みな彼女の姿とが、ましてその場所が薄暗い土蔵の二階なので、甚しく異様な対照を見せていた。