Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がん

雁

森 鴎外

Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate

Aozora Bunko

と云って、それきり横を向いて、烟草を呑んで構い附けない。梅は余り悔やしいので、外の肴屋へ行く気もなくなって、駈けて帰った。そして主人の前で、気の毒そうに、肴屋の上さんの口上を、きれぎれに繰り返したのである。

お玉は聞いているうちに、顔の色が脣まで蒼くなった。そして良久しく黙っていた。世馴れぬ娘の胸の中で、込み入った種々の感情が chaos をなして、自分でもその織り交ぜられた糸をほぐして見ることは出来ぬが、その感情の入り乱れたままの全体が、強い圧を売られた無垢の処女の心の上に加えて、体じゅうの血を心の臓に流れ込ませ、顔は色を失い、背中には冷たい汗が出たのである。こんな時には、格別重大でない事が、最初に意識せられるものと見えて、お玉はこんな事があっては梅がもうこの内にはいられぬと云うだろうかと先ず思った。

梅はじっと血色の亡くなった主人の顔を見ていて、主人がひどく困っていると云うことだけは暁ったが、何に困っているのか分からない。つい腹が立って帰っては来たが、午のお菜がまだないのに、このままにしていては済まぬと云うことに気が付いた。さっき貰って出て行ったお足さえ、まだ帯の間に挿んだきりで出さずにいるのであった。