Classici giapponesi con furigana
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がん
雁
Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate
弐拾壱
しかし「檀那は御機嫌好くてお出になるかい」と末造の安否を問うことだけは忘れない。
お玉はきょう機嫌の好い父親の顔を見て、阿茶の局の話を聞せて貰い、広小路に出来た大千住の出店で買ったと云う、一尺四方もある軽焼の馳走になった。そして父親が「まだ帰らなくても好いかい」と度々聞くのに、「大丈夫よ」と笑いながら云って、とうとう正午近くまで遊んでいた。そしてこの頃のように末造が不意に来ることのあるのを父親に話したら、あの帰らなくても好いかと云う催促が一層劇しくなるだろうと、心の中で思った。自分はいつか横着になって、末造に留守の間に来られてはならぬと云うような心遣をせぬようになっているのである。
弐拾壱
時候が次第に寒くなって、お玉の家の流しの前に、下駄で踏む処だけ板が土に填めてある、その板の上には朝霜が真っ白に置く。深い井戸の長い弔瓶縄が冷たいから、梅に気の毒だと云って、お玉は手袋を買って遣ったが、それを一々嵌めたり脱いだりして、台所の用が出来るものでは無いと思った梅は、貰った手袋を大切にしまって置いて、矢張素手で水を汲む。洗物をさせるにも、雑巾掛をさせるにも、湯を涌かして使わせるのに、梅の手がそろそろ荒れて来る。