Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
がん
雁
Leggi 雁 (がん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 73.950 caratteri · 147 schermate
――――――――――――――――
妾も檀那の家にいると、世間並の保護の下に立っているが、囲物には人の知らぬ苦労がある。お玉の内へも或る日印絆纏を裏返して着た三十前後の男が来て、下総のもので国へ帰るのだが、足を傷めて歩かれぬから、合力をしてくれと云った。十銭銀貨を紙に包んで、梅に持たせて出すと紙を明けて見て、「十銭ですかい」と云って、にやりと笑って、「おお方間違だろうから、聞いて見てくんねえ」と云いつつ投げ出した。
梅が真っ赤になって、それを拾って這入る跡から、男は無遠慮に上がって来て、お玉の炭をついでいる箱火鉢の向うに据わった。なんだか色々な事を云うが、取り留めた話ではない。監獄にいた時どうだとか云うことを幾度も云って、息張るかと思えば、泣言を言っている。酒のが胸の悪い程するのである。
お玉はこわくて泣き出したいのを我慢して、その頃通用していた骨牌のような形の青い五十銭札を二枚、見ている前で出して紙に包んで、黙って男の手に渡した。男は存外造作なく満足して、「半助でも二枚ありやあ結構だ、姉えさん、お前さんは分りの好い人だ、きっと出世しますよ」