Classici giapponesi con furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Leggi 雪たたき (ゆきたたき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.132 caratteri · 56 schermate
それほど名の通った安富の家の元家が、管領細川政元を笠に被て出て来ても治まらなかったというのは、何で治まらなかった歟、納屋衆が突張ったからで無くて何であろう。それほどの誇りを有った大商業地、富の地、殷賑の地、海の向うの朝鮮、大明、琉球から南海の果まで手を伸ばしている大腹中のしたたか者の蟠踞して、一種特別の出し風を吹出し、海風を吹入れている地、泣く児と地頭には勝てぬに相違無いが、内々は其諺通りに地頭を――戦乱の世の地頭、銭ばかり取りたがる地頭を、飴ばかりせびる泣く児のように思っている人民の地、文化は勝れ、学問諸芸遊伎等までも秀でている地の、其の堺の大小路を南へ、南の荘の立派な屋並の中の、分けても立派な堂々たる家、納屋衆の中でも頭株の嚥脂屋の奥の、内庭を前にした美しい小室に、火桶を右にして暖かげに又安泰に坐り込んでいるのは、五十余りの清らな赭ら顔の、福々しい肥り肉の男、にこやかに
「フム」
とばかりに軽く聴いている。何を些細な事という調子である。これに対して下坐に身を伏せて、如何にもかしこまり切っている女は、召使筋の身分の故からというばかりでは無く、恐れと悲しみとにわなわなと顫えているのは、今下げた頭の元結の端の真中に小波を打っているのにも明らかであり、そして訴願の筋の差逼った情に燃えていることと見える。