Classici giapponesi con furigana
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ゆきとどろ
雪と泥
山本 周五郎
Leggi 雪と泥 (ゆきとどろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.993 caratteri · 40 schermate
三本めを呷るように飲んで、勘定をした。これがまた驚くほど安かった。彼はにわかに軽い気持になり、その店を出ると、おりよく通りかかった駕籠を呼びとめて乗った。
駕籠を着けさせたのは、蔵前片町の紀伊国屋の店先であった。紀伊国屋は札差で、十年以上も小出家の蔵宿をしていた。――いうまでもあるまいが、札差というのは旗本御家人の扶持食禄を、受取人に代って売買する商人であり、必要に応じてその扶持食禄を担保に金も貸した。――父の性分で蔵宿から金を借りるようなことはないだろう、その点では動かない信用がある筈であった。
――疑われさえしなければ大丈夫だ。
折之助はこう信じて店へ入った。
小出家の係りは番頭の佐平で、折之助も顔はよく知っていた。彼はちょうど店にい、すぐにあいそよく立って来たが、用件を聞くとけげんそうな顔をした。
「じつは父が一昨日から寝ているので」と折之助はできるだけ平静に云った、「急に入用ができたものだから代理で来たのだが」
「それはいけませんですな、よほどお悪いのでございますか」
「いや風邪をこじらせたらしい、心配するほどのことはないと思う」背筋へ汗が出て来、足ががくがくしそうになった。