Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
」
おれがやったらという顔つきで、孫四郎はまたこういいながら蒼い頤をなでた。
「そうも思えるが、どうも僕にゃ……」
「物足らんか。望みが太いでな。はは。」
こういって形だけのあくびをしたところへ、
「ねえさん。ちょっと出てみなされ。またお通りですよ。」
と上がり口の格子戸をガラリとあけて、こう娘の声が聞こえた。
「あら、そう。もうそんな時刻でしょうか。」
といって細君は襖をあけて現われ「萩原さん。ちょっと出てごらんなさらない。おいや?」と口についた糸を指で取って丸めながら、二人の方を向いていった。
「なんです。」裕佐がこういうのを、
「丸山連さ。」と孫四郎は「いわずと知れた」といわぬばかり、「おいやなこともなかろう、切支丹じゃなし。なア?」と裕佐の顔を流し目に冷やかしながら立ち上がった。
異国に対して厳酷であるとともに臆病であった幕府は、当時長崎在留の異国人の住居を出島の郭内に禁制するとともに、一方丸山の遊女を毎夜そこにつかわし、侍らしめて、紅毛人の歓心を買うことにこれつとめていた。
雨の日も、風の日も、灯ともしころになれば、三十人、四十人の遊女が、さわればぽろぽろとはげて落ちそうな粉飾に綺羅を尽くし、交代に順番に応じて、奉行から差遣の同心に駆られ、ひき立てられて、丸山から出島へと練って行くのであった。