Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
四
いくらあなたがそれをご自分では不満足でもね。」
そして女はたち上がり、沈んだらしく黙り込んでいる男のわきへ近づくと、長煙管の煙をフッとその顔へ吐きかけた。
「あなた、おこった?」
男は飛び上がり、しびれるほどの力で女の手くびをぎゅっとつかんで引き寄せると、その白い濃厚なかおりのする胸にかむごとく接吻した。と、女の肌に頸からつるしてあった細い黒檀の珠数とその先にぶら下がっている銅貨のようなものがちらりと見えた。
「や、なんだ。これや。メダイか!」
「念珠よ! それでも。」
ムキに男に抵抗してしゃにむに鎖を引きちぎられた時、女は投げ出すようにこういって男をにらんだ。それは古い南蛮渡りのコンタスであった。
「お前、こんなものを持っているのか。」
と男は夢中でそれを灯の下へ持って行きながらきいた。
四
「異人さんからもらったのよ。引っさらって来たのよ。」と女はいった。「一昨日の晩だったかしら。オランダ屋敷で。あそこにはそれはほしいものがうんとあってよ。あいつらは狒々だから、あたしたちがほしいといえば垢だらけの襦袢とだって、なんでも交換してくれるわ。この指輪だってそうよ。