Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
九
もし自分の憤りが単にひねくれた邪推にすぎなかったとしたらほんとうに気の毒なことをした、あまりに大人気なかったと思った。しかし彼はなお憤りをしずめることはできなかった。「そんなことはない。あいつはそのくらいのいたずらをしたがるやつだ。もうあいつとはいよいよ絶交だ。」彼はしいて自分にこういいながら蒼い顔をして妓楼ののれんをくぐった。
九
女はすぐ出ては来なかった。物悲しいほどの寂しさに滅入っていた裕佐は、しかしその女の室にはいって、見慣れたいろいろのものを見ると、しだいに心持ちが甘く明るく変わって行くのであった。彼はごろんと肱枕をつき、何げなく欄間の額を見ていた。だれが書いたものか南画風な淡彩で、白髪なシナ人とあから顔の遊女とが「枕引き」をして遊んでいる図である。絵は飄逸をねらってやや俗になっているが、下手ではない。それに「木まくらの角は丸山たおやめに心ひかるるみつうちの髪」という狂歌の讃がしてある。
「のん気なやつだな。」彼は思った。しかし今の彼にはそれが少しもいやではなく、かえってそんなものを見ていることでくさくさした気持ちがのんびりと柔らげられて行くことが快かった。