Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.061 caratteri · 22 schermate
「あれ、あれ、欄間に蛇が、蛇が……」
ほかのものの眼には見えないが、お小夜にだけはありありと見えるらしく、そこへ来た、あそこへ来た、と部屋じゅうを狂いまわる。
音に高い北見村斎藤伊衛門の蛇除の御守をもらって、お小夜の部屋の戸障子の隙間や窓々に貼りつけて見たが、いっこう、なんの験もない。
府中、山伏寺、覚念坊の蛇除のお加持は、たいへんにいやちこだというので、さっそく迎えて加持をさせたところ、これは、金井の蛇塚の蛇姫様を殺した祟りで、山棟蛇の眷族三百三十三匹がお小夜に取り憑いているのだという。
それではどうすればいいのかとたずねると、覚念坊は、
「この蛇神の執念は、いかにも強く深くござって、いかなる秘咒をもっても、それをとくことはなし難い。これはすべて輪廻の造顕によることでござって、まして、限り知れたわれらの法力では、その呪いから遁れしむることはむずかしゅうござる」
と、たよりのないことをいう。
せんじ詰めたところは、自分の法力では、一日に一匹だけしか取りのけることが出来ないので、三百三十三匹をぜんぶ取りのけるまで、御病人のいのちが保ちあうかどうか、そこまではお引きうけ出来ぬというのである。