Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.327 caratteri · 43 schermate
ひょろ松は気を悪くして、
「なにを、のんきなことを言っているんです。……凧なんぞどうでもいい、ともかく内部へ入りましょう」
「まあまあ、急ぐな。……公事にも占相ということが与って力をなす。……おれは、いま金座の人相を見ているところだ」
のんびりと川むこうを指さし、
「……神田川をへだてて、むかいは松平越前守の上屋敷。……西どなりは、鞘町、東どなりは道路をへだてて石町……。どちらの空を見ても、清朗和順の気がただよっているのに、金座の上だけに、なにやら悪湿の気が靉いている。……なるほど、このなかには、二百人からの人間が籠の鳥同然に押しこめられ、他人のために朝から晩までせっせと小判をつくっている。ひとの恨みと金の恨みがあいよって、それで、こんな悪気が立ちのぼるのだろうて……」
ひょろ松は、へこたれて、
「どうも、あなたが喋りだすと、裾から火がついたようになるんで、手がつけられねえ。……さあさあ、もう、そのくらいにしておいてください」
「……よしよし、では入ってやるが、だが、ひょろ松、くどいようだが、叔父の禿げあたまには極内だぞ」
「それは、嚥みこんでいますが、どうして、そうまで金助町に内証にしたがるんです。