Classici giapponesi con furigana
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こうすいしんし
香水紳士
大阪 圭吉
Leggi 香水紳士 (こうすいしんし) di 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7752 caratteri · 16 schermate
とてもジッとしていられない。が、さりとて、妙に体が硬張って、声を立てることも、動くことも出来ない。
「人違いであってくれればいいが!」
クルミさんは、一所懸命に自分を押えつける。しかし、その下から、ムクムクと恐しい考えが浮上って来る。
――なるほど、洋服を着た人は何処にでもいるし、大きな男も何人もいるかもしれない。そして、中指を怪我して失った方も、広い東京には何人もいるかも知れない。しかし、この三つの特徴が三つともピッタリあてはまるというような人が何人もいるものだろうか?
「しかも、この紳士は、極端なくらい不自然に、四本指の右手を隠しているではないか! そういえば、車室にはいって来た時の態度からして、とてもおかしい!」
クルミさんは、ブルブルッと身ぶるいした。
――恐らくこの紳士は、最初車室にはいって来たときに、素早くあたりを見廻して、クルミさん一人だけのこの席をみつけると、相手を少女とみくびって、それであんな満足そうな顔をしたのに違いあるまい。そして、昨夜あんな恐しい仕事をして睡らなかったので、熱海か箱根へ逃げのびる途中で、ついウトウトと、居睡りをしはじめたのに違いない。