Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate

Aozora Bunko

彼はただ妙子のことを思っていた。彼女の罌粟の花の様な笑顔や、歌の様に甘い声を、汽車の動揺につれて目と耳に繰返した。彼は又、彼女が最後の日に舟の上で話しかけた、夢の様な恐怖を思出した。「やっぱり彼女の予感が当ったのかも知れない」と思うと、まだ片鱗をさえ聞かぬ、事件そのものにも、不可思議な興味を覚えた。

七時三十分列車は上野駅に到着した。

改札口を出ると、そこに自動車の運転手が待ち受けていた。明智の顔は新聞で御馴染になっているので、間違いはない。

「福田から御迎えでございます」

運転手は現代の英雄に対する大衆的尊敬を以て、うやうやしく云った。

「アア、御苦労さま。車はどれだね」

明智は気軽に応じた。

「こちらでございます」

運転手は先に立って自動車置場へ案内した。

この場合明智の方に手抜りがあったとは云えぬ。彼が今上野駅へ到着する事は、波越警部と、福田氏とが知っているばかりだ。この自動車が偽物だなどとは、神様だって想像も出来なかったであろう。それに車も実業家の持物らしく立派だし、運転手助手の服装も整っていた。強いて云うならば、彼等両人が揃いも揃って大きなロイド眼鏡をかけていたこと、自動車に福田家の定紋が見当らなんだこと、この二点を疑えば疑うのだが、運転手に塵よけのロイド眼鏡はあり勝ちのことだし、定紋の方は明智はまるで