Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
彼は心の底から湧き上って来る身震いを、どうすることも出来なかった。恐ろしいのだ。何とも形容し難い恐怖だ。
「そんなに聞き度いのですか」
明智はやっと己れを制して云った。
「エエ、聞きとうございますわ」
恐ろしいことには、物を云う度に、妙子の赤い唇が段々接近して来るのだ。
「犯人が分ったのです」
「マア、犯人が……」
驚きの余り、妙子の顔が、一刹那青ざめて見えた。
「何者でございますの? その、犯人は」
まるで救いをでも求める様な、弱々しい表情になって、なよなよと明智の膝に凭れながら、少し呼吸をせわしくして尋ねる。
「知り度いですか」
明智はよりかかって来る、柔い肉塊を、ソッとかわす様にして云った。
「エエ、無論知りとうございますわ」
「あなた、勇気がおありですか」
「マア」妙子は息を引いた。「勇気ですって? どうして勇気が要るのでしょう」
「犯人は、ある空家にいるのです。そいつの顔を見る為には、淋しい空家に入らねばなりません」
「でも、そんな。あたし犯人を見たいとは思いませんわ。ただ、捕まえて下されば……」
「無論捕縛します。併し、あなたは犯人が憎くはありませんか、一目見てやり度いとは思いませんか」