Classici giapponesi con furigana
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
Leggi 魔術師 (まじゅつし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.264 caratteri · 280 schermate
頭の上には、直径三尺もある大振子が、金属性のキシリを立て、ゆっくりゆっくりと左右に揺れている。
一郎はその機械室の一隅に立って、じっと息を殺し耳をすました。彼は鉄砲玉の様に飛びついて来る怪物を予期して、一瞬たりともピストルの手をゆるめなかった。だが、いくら待っても、何の変ったことも起らぬ。機械のまわりをグルッと廻って見たが、どこの隅にも、怪しいものの影はない。
やや拍子抜けの体である。彼はさい前からの臆病過ぎた用心が恥しくなって、苦笑しながらピストルをポケットに入れ、文字盤の裏へ近づいた。
彼の頭の辺に、シャフトといった方がふさわしい様な、恐ろしく太い時計の針の心棒が横わり、その下の、丁度彼の胸のあたりに、俗に幽霊塔の目と云われている、大きな二つの穴が開いている。これは別段さしたる用途もないのだけれど、ボンボン時計のネジを捲く二つの穴になぞらえて、装飾旁々機械室に光線を取る為に開けてあるのだ。
一郎は例の貼紙が、裏側から見て左の方の穴の真下に当ることを記憶していた。彼はその穴から首を出して、貼紙の位置を見定め、次に右手を穴の外へ出来る丈け伸ばして、それをはがそうとした。