Classici giapponesi con furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate
街路には靴音も電車の音も響かず、大気の中に夜更けの気配いがはっきりと感じられる。しかし、深夜なのか夜明けなのか、昨日なのか今日なのか一向に判断がつかない。時の流れから自分だけが除外されて、今まで放って置かれたようなたよりない気持である。
起上ろうとするが身体の心棒がなくなってしまったようで、うまい工合にゆかない。ようやく起上って何気なしに自分の胸さきに眼をやると、ちょうど心臓の上のところに一枚の紙片がクリップでとめてある。不審に思いながら手に取って読んで見ると、その表面には鉛筆の走り書きで次のようなことが記されてあった。
警視庁真名古捜査課長殿
僕は今たいへんな危難にサラサレています。二日午前三時までに帰りませんでしたら即刻捜査を始めて下さい。入口は芝田村町放送局工事場。二つ目の角を右折、六ツ目を左折、四ツ目を右折。
二日午前一時十分古市加十
幾度も読み返して見たがどういう意味なのか判らない。そのうちに考えることが面倒臭くなって、細かく引裂いて紙屑籠の中へ投げ込んでしまった。
頭がひどく痛むので、すこし額でも冷やしてやれと思って化粧室へ入って行く。