Classici giapponesi con furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Leggi 魔都 (まと) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 293.999 caratteri · 578 schermate
ので、流行歌は忽ちメロディを失って間の抜けた太鼓の音だけになってしまった。
群衆は一斉にドッと笑い出す。警官はいよいよいきり立って大太鼓まで搦め取ってしまおうとその傍へ近付いて行った時、群衆を押分けて演壇の近くに立現われて来た二人の人物。一人は四十五六の田舎相撲のような恰幅のいい眼玉の大きな男、一人は五十ぐらいの塩の勝った胡麻塩の髪を雀の巣のように取乱したあるかなしかというような小柄な人物。先なるは夕陽新聞社長幸田節三、後なるは兼清博士と見受けられた。
幸田は楽隊と警官の縺れを見ると急ぎ足でその方へ進んで行って権柄な声を出していたが、巡査は間もなく不承々々の面持で群衆を押分けながら引取って行った。
この時公園の入口の方からけたたましい鈴の音がして五人ばかりの新聞売子が、夕陽夕陽、大事件号外、写真入り特別版と叫びながら駈け込んで来た。お花という件の娘はそれを聞くと急にドッキリとした様子で、急いで帯の間から小さな蟇口を抜き出し、新聞を一部買い取るとはげしく眼を走らしていたが、やがて、
「まだちっとも掲載いない。ああ、どうしょう/\」
と不安気に呟く。
読者諸君もまだお忘れにはなるまい。