Classici giapponesi con furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Leggi 鰊漁場 (にしんぎょじょう) di 島木 健作 (しまきけんさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.483 caratteri · 49 schermate
町の氏神が鳴らす大漁祈願の太鼓だ。しばらく闇のなかに立って源吉は胸算用をしてみた、帳場から借りた金がまだ五円はある。二つの心が彼のなかでしばし争った。が、すぐに彼は、もう十間以上も先に行く男たちのうしろから追っかけて行った……。
酔い痴れてそこに泊りこんでしまった仲間たちからはなれて、真夜なかに源吉はただひとり宿舎へ帰って来た。彼らの宿舎は旦那の家から少しはなれたところに立っていた。板のすきまからは遠慮なく吹雪の吹きこむようなバラック建だった。大広間の三分の一は炊事場で、残りの三分の二の板の間に筵を敷き、漁夫たちはその上にごろ寝をするのだった。
誰一人として寝具をもっているものはなかった。どてら一枚を引っかけたきりで、仕事着のまま横になるのだ。流れて来て、偶然ここへ足をとどめることになった源吉にはそのどてらの持合せすらない。雑魚寝をしている仲間の間にわりこんで横になり、眠ろうとするのであったが、飲みつけない酒に頭はがんがんと鳴り、容易に寝つかれなかった。たったいまそこを出て来たばかりの小料理屋での記憶が――ぐったりとしなだれかかって来て、腕を首にまきつけたりする若い女の白くぼやけた顔や、やけにかん高い音を立てるこわれかかった蓄音機の音などが、遠い昔のことででもあるかのようにおもい出されて来た。