Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「といったところで、私のせいじゃないからね」
「誰がお前さんのせいだと言いましたえ。私はただ、自分の輪廻を怨むんですよ」
「それ程この世がお嫌なら、どこかそこらでご思案なさいな、こんどは私が手伝ってあげるから」
「おそろしいご親切、ありがたすぎて身ぶるいが出る。けれど私にも今日からは、弦之丞様というお方があるんですから、そんなお心遣いはご無用に願いましょう」
と、お米も負けずにそういい返すと、弦之丞の右側へ廻って、見えないように、袂の下で手を握った。
おのれの科は覿面にすぐおのれへ帰ってくる。
弦之丞は後悔した。
触れるやいな、火花を散らす女の妬心を眼のあたりに見て、かれの臆病な悪魔的な考えは萎え惧れた。
けれど、秘密を知る狂恋の女。あざむかねば殺すのほかはなく、殺さねば、あざむくのほかはない。大事の万全を期する上に。
しかし、やがてお綱の怜悧が誤解をとくであろうことは信じられるので、とにかく、弦之丞はお米の棘立つのをなだめ、こんがらかった二人の気持をほぐすことに努めながら、京橋口の船宿へ帰ってくる。
大阪表に潜伏している間、そこの鯉屋には何かの世話になっていたが、今も門まで戻ってくると、誰かひとりの客が、留守のうちに弦之丞を訪ねてきて、さっきから二階に待っておりますという亭主の告げであった。