Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「ごもっともでございます、けれど、わっしも天満組の目明し、必ずそちらのお役目に泥をぬるようなことは致しませぬ。どうか枉げてもお綱のお手当は、暫時、万吉にお任せおき願いとう存じます」
中西与力も強硬だが、万吉もまた、熱誠を面にあらわして頼むのだった。
それにうたれたか弥惣兵衛は、
「では、天満組の目明し」
「へい」
「誓って、そちの手でお綱に縄をかけて、このほうへ渡すというか!」
と、開きなおった。
「…………」万吉はグッと返辞につまってしまった。けれど、顔色を悟られないうちに、キッパリと断言しなければ、弥惣兵衛の叱咤がふたたびお綱を追うであろう。
鉛の熱湯をのむよりは苦しい、あとはどうこの気持がもてるか、自分にさえ分らぬ万吉、目をねむって一時のがれに、
「え……へい、きっと、承知いたしました」
「間違いあるまいな!」と強く念を押して、
「では、そちが召捕ってくる猶予として一刻ほど待ってつかわそう。ウム、あの七刻下りの陽が、あなたの奥甲賀の山間に落ちるまでだぞ」
そう言いわたして中西弥惣兵衛は、少し横道に隠れ、附近の山神の祠に捕手の者をまとめて、江州甲賀あたりの連峰の上にうすれかけている秋の陽の釣瓶落しを待つのであった。