Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
お米が少し気味悪げに道をよけていると、程もあらず、そこへ追いついてきた一文字笠の男は、
「もし、川長のお米さん」
と、いきなり、図星をさして、合羽の片袖をうしろへはねた。
帯の間の手拭をぬき取り、口を歪めながら、生え際の汗を拭いている顔を覗いたが、お米にも宅助にも、どうも覚えのない男だ。
「私をご存じのようだけれど……お前さんは?」
「お忘れでございますか」
「さア……どうも」
「去年の夏の初め頃は、立慶河岸へ屋根舟をつけて、よくお前さんの家の、川魚料理を食べに行ったものですぜ」
「ああ、それじゃ店のお馴染みでございましたか」
「なアに、馴染みというほどでもねえが、お十夜孫兵衛という男と、飲み仲間でよく一座したことがある」
「それを聞いて思い出しました。ではあなたは住吉村にいた……」
「そうよ、あの頃ぬきや屋敷に住んでいた甲比丹の三次という者だ」
「まア、人というものは思いがけない所で逢うものでございますね」
「冗談をいいなさんな、読本の筋じゃあるめえし、こんな四国の山奥で、バッタリ行き逢ったり何かして堪るものか。実はお前の尋ねてゆく人に俺も少し用があって、この通りの汗だくで追いついてきたのよ」