Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
「そ、そんなことをいわないで……」お米は我を折って、啓之助の膝へ泣きくずれながら、「――すぐに帰ってきますから、どうぞ、二十日ほどお暇を下さいまし、ほんとに、今いったような、知らせが来ているのですから」
「いけないッ」と、それでも啓之助が意地強く突ッ放すと、お米はもう嘘や頼みではきき入れられない口惜しさと捨鉢とで、
「あなたは鬼だ! 悪魔のようなお人です!」
「オオ、おれは鬼だ。お前がわしをそうさせたのじゃ」
「みんなに聞いて貰います、世間の人に何もかも話してやります。お関船の底へ無体に私をほうりこんで、その上にまだ……」
「大きな声をするなッ」
「しますッ。どっちが無理か世間にきいて貰います」
「ばか、ここは剣山の麓だぞ」
「向うの目付屋敷には、竹屋三位様がいらっしゃいます。三位様のお耳へ届くように、私はわざと大きな声でいってやるのです」いきなり立って、窓の障子へ手をかけた女は、もうヒステリックにうわずっていて、放っておいたら、威嚇ばかりでなく、ほんとに、何をしゃべりだすかしれないような血相だったので、啓之助もうろたえ気味に、
「ばか! つまらぬことを口走るな」