Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖 (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.957 caratteri · 114 schermate
事情をきいてみるとこの二人は、あの時の難儀をどうにか遁れたと思うと、こんどは正真正銘のゴマの蠅に目ぼしをつけられて、四日四晩もつきまとわれたあげく、とうとうこの宿の一ツ手前にある人なき峠で、腰帯にくるんだままの掛けの大金をゴマの蠅に強奪されてしまった。それもただの金ならいいが、藍と煙草の年貢金として、蜂須賀様へ納めなければならない急場に持って帰る途中なので、国元で、首を長くして待っている主人へ、どうにも顔向けがならないので……と、思わず取り乱した理由を話したり、合宿の方の旅情まで不愉快にしてすまぬという詫びをのべる。
これが癪の病とか霍乱とかいう話なら、源内にも応急策はいろいろあるが、少なからぬ大金ではあるし、相手がよほど腕のすごいゴマの蠅ときいては、どうも匙加減の及ぶ所ではない。これはよろしく職掌がらの目明しの万吉がいい相談相手であろうと、自分は精神的に慰めだけをいうに止めて、先へ臥床へ入ってしまった。
翌朝は源内、かねて名古屋へ廻る予定なので、一同に別れをつげ、先へ宿を立って行ったが、四国屋の者と万吉とお綱とは、午近くまで宿に残ってそこの二階から前の街道を見張っていた。