Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
由兵衛も釣り込まれて神まいりを始めた。井戸屋の主人も神仏の信心を怠らず、わざわざ下総の成田山に参詣して護摩を焚いてもらった。ありがたい守符のたぐいが神棚や仏壇に積み重ねられた。
九月二十三日に淀橋からお妻の使が来て、おっ母さんにちょっと会いたいから直ぐにお出でくださいというので、もしや産気でも付いたのかと、お峰はすぐに駕籠を飛ばせてゆくと、お妻の様子は常に変らなかった。悪阻の軽かったかれは、ほとんど臨月の姙婦とは見えないほどにすこやかであった。その顔色も艶々しかった。
「どうだえ、もう生まれそうかえ。」と、お峰はまず訊いた。
「お医者も、取揚げのお婆さんも、今月の末頃だろうと言っているのですけれど、わたしはきっとあした頃だろうと思います。」と、お妻は信ずるところがあるように言った。
「だって、お医者も取揚げ婆さんもそう言うのに、おまえ一人がどうして明日と決めているの。」
「ええ、あしたです。きっとあしたの日暮れ方です。」
「あしたの日暮れ方……。」
「おっ母さんはおととしの事を忘れましたか。あしたは九月の二十四日ですよ。」
九月二十四日――横浜見物の帰り道に、二挺の駕籠が鈴ヶ森を通りかかったのは、その日の暮れ方であった。