Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

女は先生のお嬢さんと多代子の二人で、多代子はぐったりと倒れかかるのを、お嬢さんがしっかりと抱えているのである。それを見てわたしは又驚いた。

巡査の取調べに対して、お嬢さんは答えた。二人は根津の通りへ買物に出て、帰り路にここまで来かかると、空地の暗いなかから一人の男があらわれて、多代子の頸へ何かを投げつけたというのである。巡査は更に訊いた。

「なにを投げ付けたのですか。」

「蛇です。」と、多代子は低い声で答えた。

蛇と聞いて、巡査もお嬢さんも顔をしかめたが、わたしは更に強い衝動を感じた。多代子と蛇と――先年の汽車中の光景が忽ちわたしの眼の先に浮かび出したのである。巡査は角燈を照らしてあたりを見廻すと、草のなかに果たして一匹の青い蛇が白っぽい腹を出して横たわっていた。

「むむ、蛇だ。」

巡査は子細にあらためて、また俄かに笑い出した。

「はは、これは玩具だ。拵え物だ。」

「ほんとうの蛇じゃありませんか。」

のぞき込む私の眼の前へ、巡査は笑いながらかの蛇をとって突き出した。なるほど精巧には出来てはいるが、それは確かに拵え物の青大将であるので、わたしも思わず笑い出した。