Classici giapponesi con furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate
五
「もう五つ(午前八時)だろうな。」
「そうでございましょう。」
「むむ。」と、弥太郎は再び空をみあげた。「あいつらもなかなか用心深いから、日が高くなっては姿をみせないものだ。大抵は朝か夕方に出て来るのだから、きょうもまず昼間は休みだ。おれはこれから庄屋の家へ寄って、御用の邪魔をしないように言い聞かせてくる。年々のことだから判り切っているはずだのに、どうも困ったものだ。」
「では、ここでお別れ申します。」
「まあ、宿へ帰って休息していろ。今も言う通り、どうせ昼のうちは休みだ。」
弥太郎は陣笠の緒を締めなおして、わが子に別れて立去った。又次郎はほっとした。平素から厳格な父ではあるが、けさは取分けてその前に立っているのが窮屈のような、怖ろしいような心持で、久しく向い合っているのに堪えられなかったのである。
父のうしろ姿の遠くなるのを見送って、又次郎は欅の大樹のかげを窺うと、そこにはもうお蝶の影はみえなかった。地蔵の前に線香も寒そうな灰になっていた。
五
お蝶は乱心しているのであると、又次郎は帰る途中でも考えた。和田の屋敷の近所に魚住良英という医者が住んでいる。本草学以外に蘭学をも研究しているので、医者というよりもむしろ学者として知られていて、毎月一度の講義の会には、医者でない者も聴きに行く。