Classici giapponesi con furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Leggi 黄泉から (よみから) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.167 caratteri · 21 schermate
「そんなこともあるのですか。かんがえもしませんでした」
「あたくしたち、夜直でおそくなって、月の光をたよりに帰ってきますと、ジャングルの奥から「由縁」なんかきこえてきますと、なんともいえない気持がいたしましたわ」
光太郎は下目に眼を伏せてきいていたが、玲瓏と月のわたる千古の密林を洩れる琴の音は、どんなに凄艶なものだろうと思っているうちに、あの琴爪で琴をひいているおけいのようすが眼に見えるようでふと肌寒くなった。
「おけいさんはあんな方ですから、なにもおっしゃらなかったのですが、そのころはもうだいぶお悪かったのです。終戦のすこし前でしたが、雨に濡れてお帰りになってたいへん喀血なさると、ずんずんいけなくおなりになって、病室へ移すとまもなく危篤ということになりました……それで、あたくしみなさんを代表してお別れにまいりますと、枕元に「謡曲全集」なんて本が置いてありますので、こんなものお読みになるのとたずねますと、ええ、ほんとうにいいコントばかりよ、すばらしいと思うわといって、「松虫」のはなしをはじめて、枯野を友とあるいているうちに、その友がいつの間にか死んでいたというところまできますと、だしぬけにふっとだまりこんで、大きな眼でじっと天井を見つめていらっしゃいますのよ。