Classici giapponesi con furigana
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よみから
黄泉から
久生 十蘭
Leggi 黄泉から (よみから) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.167 caratteri · 21 schermate
二
もう死んでしまったひとなんだから……さあ、さあ、君は早く事務所へ行って取引をはじめたまえ。日本橋へ行くんだろう。ほら、電車がきた」
二
神田で降りると、ここの市場もたいへんな雑踏で、炎天に砂埃とさかんな食物の匂いをたちあげ、修羅のようなさわぎをしていた。
売るほうも買うほうも、動物的な生命力をむきだしにしてすさまじいコントラストを見せ、三百万人も人が死んだ国のお盆にふさわしい哀愁の色などはどこにもなかった。
光太郎はふと十月二日の巴里のレ・モール(死者の日)のしめやかなようすを思いだした。巴里中の店は鎧扉をしめ、芝居も映画も休業し、大道は清々しい菊の香を流しながら墓地へいそぐ喪服のひとの姿しか見られなくなる。
巴里の山手、ペール・ラシューズの墓地の上に Bellevus de Tombeau という珈琲店がある。「墓地展望亭」とでもいうのであろうか。そこのテラスに掛けると、眼の下に墓地の全景を見わたすことが出来る。
光太郎は「死者の日」によくそこへ出かけて行った。手をひきあう老人夫婦、黒い面紗をつけた若い未亡人、松葉杖をついた傷痍軍人、しょんぼりした子供たち……喪服を着たものしずかな人達が、いま花束を置いてきたばかりの墓にもういちど名残りをおしむためにこのテラスへやってくる。