Classici giapponesi con furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Leggi 黄灯 (こうとう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.262 caratteri · 21 schermate
花崗岩を立てた大きな門の上には電燈が光っていた。その電燈の上に裸樹の桜の枝が微に動いていた。
書生は左側にある耳門から入った。主翁もそれに跟いて往った。門の中には門番のいる磨り硝子の小さな建物があって燈が点いていたが、番人の姿は見えなかった。
書生は正面の玄関のほうへ往った。庖厨口のほうへ往くには、そこを左に竹垣に沿うて曲って往かねばならなかった。
「こっちじゃありませんか」
主翁はちょと立ち停った。白い書生の手がこっちへ来いと云うように動いた。主翁は書生の方へ歩いて往った。寒い風が庭の植木の枝を吹いていた。
玄関の前には大きな蘇鉄を植えた円形の植込があった。電燈の燈が鋸の歯のようなその葉に明るく射していた。二台の自動車がその左側に置いてあった。玄関には十足ばかりの靴や下駄が見えて障子が閉っていた。書生は玄関をあがった。
「私は内玄関の方で待っております」
主翁はなんぼなんでも玄関からあがれないと思った。書生は障子にすこしの音もさせずに、すうと開けてふりかえり、白い手をあげて招いた。
「でも、あんまりでしょう」
書生は黙ったなりにまだ招いている。主翁はしかたなくあがった。