Classici giapponesi con furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate
滝太郎の祖父は母親には継父であったが、目を閉じ、口を塞いでもの言わず、するがままにさせておくと、瞬く内に家も地所も人手に渡った。謂うまでもなく四人の口を過ごしかねるようになったので、大根畠に借家して半歳ばかり居食をしたが、見す見す体に鉋を懸けて削り失くすようなものであるから、近所では人目がある、浅草へ行って蔵前辺に屋台店でも出してみよう、煮込おでんの汁を吸っても、渇えて死ぬには増だという、祖父の繰廻しで、わずか残った手廻の道具を売って動をつけて、その俵町の裏長屋へ越して、祖父は着馴れぬ半纏被に身を窶して、孫の手を引きながら佐竹ヶ原から御徒町辺の古道具屋を見歩いたが、いずれも高直で力及ばず、ようよう竹町の路地の角に、黒板塀に附着けて売物という札を貼ってあった、屋台を一個、持主の慈悲で負けてもらって、それから小道具を買揃えて、いそいそ俵町に曳いて帰ると、馴れないことで、その辺の見計いはしておかなかった、件の赤煉瓦と横窓との間の路地は、入口が狭いので、どうしても借家まで屋台を曳込むことが出来ないので、そのまま夜一夜置いたために、三晩とは措かず盗まれてしまったので、祖父は最後の目的の水の泡になったのに、落胆して煩い着いたが、滝太郎の舌が廻って、祖父ちゃん祖父ちゃん、というのを聞いて、それを思出に世を去った。