Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
頬からかけて頤の辺まで、刀傷のある男が云った。
「噂にだけは聞いているよ」
両足ともかくも揃ってはいるが、左の足がどういう加減か、発育不完全で竹のように細い、そういう不具者の五十男が云った。
「なんでも盲人だということだな」
「うん」
と刀傷の男が云った。
「俺は一度だけ逢ったことがある。盲人だよ、凄い盲人だ」
「むやみと人を斬るそうだが?」
「うん、むやみと斬るそうだ。……昔はそうでもなかったそうだが。……そうだ昔はその男の行く手を、変に遮って邪魔などすると、怒って斬ったということだが……今じゃアむやみと斬るそうだ」
「狂人だよ! 殺人狂さ!」
吐き出すようにこう云ったのは乳飲み子を膝へかかえ上げ、胸もとをひろげて乳房を出し、それを含ませている二十八、九の、痩せさらばえた女乞食であった。
「その狂人の人鬼でも、この可愛い子供を見たら、――この子供はずいぶん可愛いわね――殺生の気持ちなどなくなしてしまって、仏心になるだろうよ」
「駄目だよ」
と刀傷のある男が云った。
「その男は盲人なのだからな、子供を見せたって見えやアしないよ」
「では私は抱かせてやろう。その盲目の狂人にあったら、この可愛い子を抱かせてやろう」