Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate

Aozora Bunko

それだのにこの頃のお姫様ときては、煩悩の塊り、嫉妬猜疑の坩堝! そのようなものに成り下がられ、わたしたちを不安と焦燥とに……のう袈裟太郎、そうではないか?」

「さあ」

と袈裟太郎は当惑したように、桂子の顔を盗み見た。

でも、云いにくそうに曖昧に云った。

「ただわたくしといたしましては、一本の白布にさえ自由自在に、変身あそばされる霊的お力を、どうぞお姫様には失わぬようにと、それだけが願われるのでござりまする」

桂子は黙っていた。

しかしかなりに痛いところを、突かれたような様子であった。

なまあたたかい風に乗って野の花の香が渡って来た。

「右衛門や」

と桂子は云った。

「そういう殺人をした悪人なら、鉞を投げて足を斬ったもよいが、でもこれから殺伐なことは、なるべく謹んでしない方がいいねえ。……さて今は何刻かしら? 夜明けにはまだまだ間があるらしいが、でもこういう物騒な所からは、一刻でも早く宮様ご一行は、ご発足なされた方がいいようだよ。……ねえお前……」

と鶏娘へ云った。

「お前の持ち芸を出しておくれ」

「はい」

と鶏娘は立ち上がり、気軽く林から出て行った。

また林はしずかになり、梟の啼き声が聞こえて来たりした。