Classici giapponesi con furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Leggi ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) di 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.905 caratteri · 262 schermate
水はもんどり打って川底に突き入り逆に跳ね返って、岩を巴にえぐる。堅硬至極な片状の花崗岩壁も、卵豆腐のようにすくい取られたり、型で打ち抜いたかと思うほどの、釜状の大穴を穿たれたりしている。
黒部本流猿とびの挿図
いったいこの谷の側崖は、直線――というよりむしろ、至大な円弧の一部とも言うべき、一種の曲線が、中高に反ったり、中凹にたわんだりしつつ、急角度に川底へ突入するのだが、それが水上四、五間乃至六、七間の辺で、ガクリと一頓挫した形の処が多い。そこにかえって絶壁の安固さが感じられる。その恐るべき全重量は、晏如として、あの沓石の上に坐しているからだ。これは岩質の相違などによる所もあろうが、又ひとつには、この谷水の容積が激変するためではなかろうか。秋の大水は毎年でないとしても、春の雪代ろ水は出ぬ年とてなく、それこそ恐ろしいものだそうな。何しろ流木、岩石、氷塊……そんな物のしどろに交ざり合った、流動体とも固形体ともつかぬ混沌たる物が、勢いに乗じて奔下するのだから、ついに岩壁をかくも擦破するのではあるまいか。たまたま突壁の割れて小峡をなす処では、よく同じ位の高さまで、岩沙の填まっているのが見られる。