Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
Leggi いさましい話 (いさましいはなし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.835 caratteri · 73 schermate
襖を閉め、こちらへ寄って来て、少し離れて静かに坐った。
玄一郎はこんどこそ驚いた。松尾は祝言の夜の寝支度である、しかし髪を解いて、化粧も濃くはない。眼を伏せ、身を縮めるように坐った姿は、霜の上に淡紅梅の花が一輪散っているような感じだった。
「――今日なにか聞いたんだね」
玄一郎は夜具の上に起きてからきいた。
「萩原でお噂を聞きました』
「――それで……」
「わたくしお詫びを申さなくてはなりません」
玄一郎は黙っていた、松尾は低い囁くような調子で、ゆっくりとこう云った。
「こちらへ輿入れをしてまいりました晩、あのように申上げましたのは、愚かな我儘と強がりでございました、――本当は初めてお招きしておめにかかったときから、心のなかではお慕い申しておりましたの、明け昏れひとつ家にいて、お姿を眼にしお声を聞きながら、お側に寄ることもできず冷たいようすをつくっていることは、わたくしずいぶん辛うございました」
彼女はそっと指で眼を撫でた。玄一郎はやはりなにも云わない、黙って劬るようなまなざしで、じっと妻の姿を見まもっていた。
「苦しい悲しい気持で眠れずに明ける夜がつづき、こんどこそ思いきって、なにも云わずにお縋りしよう、幾十たびそう決心したかもしれませんでした、――でも夜が明けて、鏡に向うと、もうだめなのです、いつもの我儘と愚か