Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

Leggi おばな沢 (おばなさわ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.479 caratteri · 45 schermate

Aozora Bunko

「大丈夫か、苦しくはないか」

兄は戻って来ては心配そうに覗いた。

「遠慮はいらないんだよ、辛かったら休んでもいいんだぜ、むりをするなよ」

節子は元気に笑ってみせた。駕籠に乗るというのも、さほど楽なものではない。かなり疲れていたが、気持はもう飛ぶようで、少しのまも休むのは惜しかった。

峠の頂上へ出たところで、道は枯れた叢林の中を右へ折れた。まっすぐゆけば隣藩になるそうで、明るくうちひらけた平野の一部がちょっと見えた。本道から三十間ばかり、細い道をだらだら下りてゆくと、木の柵をまわした番所の建物の前へ出た。

――節子は駕籠から出たとき、ひどく昂奮していて、下女のそろえて呉れる草履がなかなかはけなかった。杉林に囲まれた番所は古いが、そこから一段さがって新しい建物がある、それがこんど急造した小屋なのだろう。

――あそこに暮していらっしゃるのだ。

その人はそこにいるのだ。こう思うと胸苦しいほど動悸が高くなり、頭がくらくらするようだった。

泰馬はまっすぐ番所へはいっていった。節子はあたりを眺めながら暫く息をつき、動悸のおちつくのを待ってはいっていった。

――そこは暗い土間で、奥の左右に障子を立てた部屋があり、つき当りは杉戸になっていた。