Classici giapponesi con furigana
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おるすばん
おるすばん
壺井 栄
Leggi おるすばん di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 6306 caratteri · 13 schermate
五
」
和子はひとり、胸をどきどきと高鳴らせていましたが、それとて、涙が出ることではありませんでした。お母さんと別れた悲しみにきたえられた和子の心は、お父さんとの別れをむやみと悲しんではならないと教えるものがありました。
「お父さん、心配などしないでね。」
和子の短い別れの言葉に対して、お父さんはもっと短く、
「ああ。」といって笑いながらうなずきました。
五
「お父さんの留守の間に、何ぞやって、あっといわそうじゃないか。」
和子が学校から戻ると、おじいさんは待ちかまえて相談を持ちかけました。おじいさんのこの仕事はお父さんの始めかけていたようけいでした。まだひなは百羽ばかりより入っていないのですが、おじいさんはもうすっかり元気で、気持も若くなったようです。昔はおじいさんもやはり海員で、内海航路の小さい船ながら船長まで務めたのでした。和子が生まれる前年、おばあさんに亡くなられたのをきっかけに陸へ上って、隠居気分で孫の和子の子守をしたり、船乗り時代の地面とのつながりの少かったことを、取り返すかのように山や畑を歩き廻ったり、そして今ではようけいに熱中しているのです。