Classici giapponesi con furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate
「あなたって、へんなひとね。たしかに神経衰弱だわ」
長謙さんがあわてていった。
「君のためを思うからいうんだよ。血が大袈裟に見えて、脅えてしまうから」
珠子さんが長謙さんの肩へ両手をかけて自分のほうへひきよせた。
「あなたはやはりいいひとだわ」
あたしが立ちあがった。
「これ以上見ていると、こっちが損をする。失礼しようかな」
珠子さんがふりかえっていった。
「だいこん、まだそこにいたの」
「もう、あちらへまいりますから」
グリルへお皿をかえしに行くと、詫間がちょっとといって、二つに折った便箋のようなものをあたしによこした。右端に〈陸軍〉といかめしい字を入れた赤い罫線を二段に仕切って、上の段にパパとママとあたしとお君の名を書き、その下に〈女中ハ一人ノミ。主人ト夫人ノ寝室ハ、東翼ノ奥。娘(あたしのこと)ノ寝室ハ二階ノ南側ノ正面〉と摘要がつけてある。
二階の西端の部屋がながいあいだあたしの部屋だったが、八月十日の夜、砲弾の破片で大きな穴をあけられたので、お客さま用のいまの部屋へ移った。これを知っているのはパパとママとお君と、ひっ越しの最中に遊びにきたジャガイモだけなんだが、〈陸軍〉がこんなこまかいことまで気をまわすとは思っていなかった。