Classici giapponesi con furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Leggi だいこん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 153.732 caratteri · 303 schermate
二十九日 水曜(つづき)
二十九日 水曜(つづき)
涼しい海風がそよそよとだいこんのあいだを吹きぬけていく。ときどき薄眼をあけてみると、軍艦のランチはあいかわらずおなじようなところをおっとりと走っている。
今日は朝早くから働きづめだったので眠くてたまらない。眼をあいていようと思うんだが、いつのまにかうとうとしている。鼾でもかきそうでしようがない。〈天国の微睡〉というのはたぶんこんなものなんだろう。身体が溶けていきそう。なんともいえないほどいい気持だ。
夢の中であたしが鼻唄をうたっている。これはなんだっけ。〈チェサピーク湾の帆走〉というケーク・ウォークのメロディだ。あたしはいつのまにかノルマンディの海水浴場の飛込筏のうえで昼寝をしている。早く昼食の鐘が鳴ればいいなどと思っている。だれかそっとあたしの肱を突く。なにかもそもそいっている。
「ここは危いです。おやすみになるならキャビンへいらしたらどうですか」
あたしたちを横須賀まで送って行くれいの慇懃な下士官がそばに立っている。きょろきょろ見まわすと、艫のほうで山チイや初子さんが孔雀のようにフロックの裾をひろげ、気取ったようすでなよなよと扇をつかっている。